料理を作るのも、食べるのも大好きな小畑様。なかむら歯科クリニックで、整理・清掃担当のクリーンスタッフとして元気に働きながら、福山市・南蔵王町で一人暮らしをされています。治療に至るまでの経緯や感想などを伺いました。
生まれ初めて「義歯(入れ歯)」を作ることに
今回、小畑様は、なかむら歯科クリニックでどのような治療を受けましたか。
ずいぶん前から、上の歯が半分近く抜けた状態で暮らしておりました。去年、最後に残っていた上の左右の奥歯2本がこげて(欠けて)、とうとう抜くことに。しばらく前歯でかんでいましたが、かみ合わせが原因で、上の歯茎が下の歯に当たって痛い。
それで、中村院長に相談して、金属床義歯(きんぞくしょうぎし)を作ってもらいました。
今、義歯を使い始めて3カ月ぐらい。義歯に慣れて、食事のおいしさをやっと感じられるようになったところです。
「上の歯が半分近くなくても、不自由はなかった」
上の歯が半分近く抜けた状態での生活は、大変ではなかったですか。
いいえ。
歯が減っても、残っていた2本の奥歯でしっかりかんで、おいしく食べられました。
私は料理を作るのも、食べるのも大好き。入れ歯にすると、味覚が変わる、食事がまずくなると聞いていたので、残った自分の歯で食べられる間は、入れ歯は使わないつもりでした。
体自体は健康だったし、お掃除の仕事だから直に接客するわけでもない。特に不自由を感じなかったので、歯が抜けたままで過ごしてきたんです。
1本でも歯を抜けたままにしておくと、他の歯も抜け始める理由
それでは、そもそもどういう理由で上の歯が半分近く抜けてしまったのか、お聞かせいただけますか。
どうでしたかねぇ。
だんだんと抜けていったのですが、最初の1本は虫歯が原因だったような気が…。確か、抜け始めたのはもう10年以上前のことだし、それこそ1本、2本抜けてもこれといって困ることはなかったので、よく覚えていないです。
では、歯が抜けてしまった理由は中村院長に伺ってみましょう。院長、どういう理由だとお考えですか。
(中村院長): 歯周病や歯を抜けたままにしておいたことなどが原因だと考えています。
まず、歯周病とは、細菌により歯肉や歯槽骨(歯を支えている骨)に炎症などが起きる病気です。 歯槽骨まで炎症が広がれば、骨が溶けて、歯を支えきれなくなるため、歯がグラグラ動くようになり、最後には、歯が抜けます。この病気は、かなり進行するまで自覚症状がありません。小畑さんが気づかないうちに、歯周病にかかり、症状が重くなっていったようです。
また、長期間、歯を抜けたままにしておくと、歯が動いてきます。抜けた歯の隣の歯が倒れてきたり、抜けた歯とかみ合っていた歯が伸びてきたりするんです。こうしてできたスキマには、食べかすなどが詰まり、虫歯や歯周病にかかりやすい状態になります。抜けた歯の隣の歯を虫歯や歯周病で失うことは、珍しくありません。隣の歯が抜けても放置しておけば、さらにまたその隣の歯を失う…と、悪循環に入っていきます。
しかも、歯が減っても『かむ力』は変わりませんから、歯が減れば減るほど、残った歯1本あたりにかかる『かむ力』は増えます。歯にかかる『かむ力』が過負荷になれば、歯にヒビが入ったり、折れたりすることに。小畑さんの歯も、こうした過程を経て次第に減っていったのでしょう。
(小畑様): 自分が歯周病というのは気づかんかったです。そう言えば、去年ぐらいから、歯がこげたり(欠けたり)、動いたりするようになってきました。
歯を抜けたままにしておくと、歯が倒れてきたり、伸びてきたりすることも知らんかったです。
(中村院長): そういう患者様は少なくありません。多くの場合、歯周病になっても、治療と定期健診などで現状は維持できますし、適切な義歯を作るなど歯が抜けた後の処置をすれば、歯の健康は保てます。
小畑様に金属床義歯(きんぞくしょうぎし)が良い理由
ここからは義歯について伺わせください。小畑様は、義歯を作るにあたり、どういった要望を出されましたか。
特に何も出しませんでした。もう、院長にお任せで。
それでは、中村院長、小畑様の場合、どういう義歯が良いとお考えでしたか。
(中村院長): その前に、そもそも義歯がお口の中に入るだろうかと心配でした。
先程申し上げたように、歯が抜けたままの状態が長期にわたって続くと、歯が倒れたり、伸びたりするので、義歯を入れるスペースがどんどん狭くなっていくんです。義歯を入れられるだけのスペースが残っていない場合もあります。調べてみたところ、小畑さんは、運良くまだ義歯が入る余地がありました。
それで質問への回答ですが、小畑さんには金属床義歯が良いと考えました。
金属床義歯とは、人工歯を埋め込む義歯の土台(床)が、金属で加工されているものです。金属ですから強くて丈夫、薄くできるのでお口の中の空間を広く保てます。また、熱の伝わり方が良いので食事をおいしく頂けると言われています。
※写真はイメージです。
義歯でも「しっかりかんで、食事を楽しめる」というのはいいですね。
ええ。しかし義歯は義歯ですから、自分の歯で食べる場合と同じくらいに食事を楽しめるわけではありません。
小畑さんの場合、失くした歯の数が多いので、義歯は大きめ、しかも上の歯用と下の歯用の2つの義歯を入れることになりました。お口の中は敏感ですから、義歯に慣れるまでは大変だったと思います。
義歯を使い始めた頃の感想
小畑様、金属床義歯を使ってみていかがでしたか。
院長がおっしゃるように、慣れるまで大変でした。
義歯をつけて初めて食べたのはラーメンです。ラーメンなら食べやすいかなと。これが、おいしくなかった(笑)。「歯は大事だ」とつくづく思いました。
それから、急いでいる時に、義歯を入れたり、外したりがなかなかスムーズにできなくて、うっかり歯茎を傷つけたこともありました。口に義歯を入れていると、すごく違和感があるし…。もうホントに「これから、どうなることか」と思いましたよ。
慣れるまで、どのくらいの日数がかかりましたか。
1カ月ぐらいでしょうか。なかむら歯科クリニックは、私にとっては職場でもあります。
義歯にまだ慣れず、一番きつかった最初の1カ月に、院長をはじめ、クリニックのスタッフの皆さんから「義歯の使い心地はどう?」、「大丈夫?」と気さくに声をかけていただいたのが励みになりました。
若くて明るい皆さんと言葉を交わしていると、ほっとしたもんです。
「一番きつかった頃、若くて明るい院長やスタッフの皆さんに支えられた」(写真右:中村院長)
義歯による痛み、食べにくさはあったか
義歯をつけて痛みが出たり、食べにくくなったりしたことはありましたか。
それはなかったです。義歯は、多少、気になるところがあったので、2回ほど調整してもらっただけです。以前は、下の歯が上の歯茎にあたって痛かったのですが、義歯をつけたら、その痛みはなくなりました。
義歯を使い始めてから3カ月、生活はどう変わった
現在は、義歯を使い始めてから3カ月近く経ったと伺いました。今の生活はいかがですか。
義歯をつけて何でも食べています。
入れ歯をはめている人には厳禁と言われるイチジクや、イチゴまでいただいています(笑)。義歯を精密に、密着するようにつくっていただいたおかげで、果物の種が義歯と歯茎の間に入って痛いということがないからです。
自分の歯で食べていた時と、義歯で食べている今を比べてみると
自分の歯で食べていた時と、義歯で食べている今を比べてみていかがですか。
義歯で感じられるおいしさは、自分の歯で食べて感じていたおいしさの8割~9割ぐらいでしょうかね。それから義歯を口に入れている違和感は、義歯を使い始めた頃より2割ぐらい減っただけ。自分の歯に勝るものはないです。
「これからは歯を手入れして、大事にします」
以前の小畑様のように、歯が抜けてもそのままにしている方にメッセージがあればお願いいたします。
歯は大事です。私はこの年になって初めて気づきました。特に若い方に「早く治療に行って」と伝えたいです。
これから私は、食べたらちゃんと歯を磨いて、歯科衛生士さんに歯石を取ってもらって、残った歯を大切にしていきます。中村院長、スタッフの皆さん、いろいろありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。